今や街中で見かけないことはない「デジタルサイネージ」。
これからデジタルサイネージを導入したいと考えている企業は、 「どのように使ったらいいのか分からない」 「費用をかけて導入するからには効果的に活用したい」 という悩みもあるのではないでしょうか。
この記事では、デジタルサイネージのメリット、導入する際のコスト、使用用途、効果的な運用方法などについてわかりやすく解説します。
目次
デジタルサイネージとは?意味と特徴をわかりやすく解説!
デジタルサイネージとは、デジタル機器を使用した電子看板です。ディスプレイなどを使い、広告を表示させたり、情報発信したりするメディアの総称として使われます。従来の紙やポスターの代わりに、デジタルディスプレイやモニターを使用し、動画やイラスト、テキスト、音声案内、ウェブコンテンツをはじめとするメディア形式を表示できます。
店舗などの商業施設や、病院や学校などの公共施設、駅や空港などの交通機関、オフィスなど様々な場所に設置され活用されています。大型ビジョンから小型の電子掲示板まで、用途・目的に合わせて様々なサイズのものが使われています。
オンラインで頻繁に内容を更新することができ、従来の看板広告などに比べると効率的かつコストを抑えられるのがメリットです。
静止画より「動画コンテンツ」でより目を引くデジタルサイネージに
デジタルサイネージでは、静止画だけでなく動画コンテンツも制作・表示できるのが最大の魅力です。文章や写真だけでは伝わりづらい内容でも、動画や音声などを活用すればよりわかりやすく伝わりやすいでしょう。
また短い時間で多くの情報を伝えられるため、通行する多くの人に興味を持ってもらえる確率が高まります。
例えば、飲食店で料理の美味しさを伝えたい場合、動画を活用すればよりその魅力を伝えられます。実際に出来立ての料理や調理をしている動画を流した方が、食欲をそそられるでしょう。
デジタルサイネージの利点とメリット
では、デジタルサイネージにはどのようなメリットがあるのかご紹介します。
【メリット①】高い視認性とインパクト
大きなメリットのひとつはその高い視認性。鮮やかな色彩や動的コンテンツを活用して人々の目を引き、情報を効果的に伝えられる点です。高解像度や広い視野角のディスプレイでは視覚的な訴求力がさらに高まります。また、混雑した場所でも大勢の人の注目を集められるため、広告や情報のインパクトが強くなります。
デジタルサイネージは、視聴者に強烈な印象を与え、ブランドの認知度やメッセージの伝達効果を向上させられるのです。
【メリット②】コンテンツの柔軟性と更新のしやすさ
デジタル技術で広告を表示するため、静止画や動画、音声やテキストといった様々な形式のコンテンツを柔軟に組み合わせられる点も特徴です。
また、ネットワーク接続タイプはリモートで更新が可能。新たな広告や情報を迅速かつ容易に表示できます。コンテンツさえ揃えばオンラインで手軽に変更作業ができ、チラシ配布やポスター掲示といった物理的な手間と時間がかかりません。
広告主は即座に情報を入れ変え、効果的にマーケティング活動を展開できるでしょう。
【メリット③】状況に応じたタイムリーで適切な情報の提供
状況に応じたタイムリーで適切な情報提供を可能なのも利点です。天気予報や交通情報、イベント案内、セール告知のように、進捗やニーズに合わせて最新の内容を伝えられます。また、センサーやカメラで人の動きを検知し、対象に合わせて個別化したコンテンツの表示も可能です。
こうした情報提供は、効果的なマーケティングの実現に不可欠です。デジタルサイネージでは、市場動向や需要の変化に即座に対応し、最適な広告を表示できます。
【メリット④】動画コンテンツの活用
動画コンテンツの活用が可能な点も特筆できます。動画では、静止画では伝えきれないストーリーテリングや情報の鮮明な伝達を実現できます。また、音声による理解度や認知度の向上も望めます。
デジタルサイネージにおける動画コンテンツは、商品やサービスの紹介、ブランドメッセージの伝達など、情報を魅力的に表現する手段として効果的。ブランドの露出度向上や購買意欲の喚起といったマーケティングの目的達成に貢献するでしょう。
【メリット⑤】多くの情報を効果的に伝達
デジタルサイネージのさらなるメリットは、多くの情報を効果的に伝えられることです。これは、テキストや映像、静止画像、音声を組み合わせつつ、1つのディスプレイで複数のデータを同時に表示することが可能であるためです。
限られたスペースにさまざまなコンテンツを盛り込み、大勢の人に印象的に見せられるデジタルサイネージ。広告宣伝効果の最大化や情報の効率的な伝達を実現し、ビジネスの成功に寄与するでしょう。
デジタルサイネージの種類と仕組み
デジタルサイネージにはどのような種類があり、どんな仕組みなのかを個別に見てみましょう。
スタンドアロン型
スタンドアロン型は、独立して動作する自律型のデジタルサイネージで、ネット接続が不要です。内蔵・外付のメディアプレーヤーを使用してコンテンツを再生し、オフラインでも単独で動作します。設置や運用が簡単でコスト効率に優れ、ネット利用が困難な環境でも有用です。
ただし、リモートでのコンテンツ管理や制御ができないため柔軟性には制約があります。スタンドアロン型は、小規模な展示会場や販売スポット等に適しています。
ネットワーク型(クラウド型、オンプレミス型)
ネットワーク型デジタルサイネージは、ネットワーク接続を通じてコンテンツの配信、管理、制御を行う形態のデジタルサイネージです。
一般的にクラウド型とオンプレミス型の2つのタイプに分けられます。
クラウド型
コンテンツの作成・編集、スケジュール管理、配信をクラウドベースのプラットフォームで行います。
インターネット接続により、複数のデジタルサイネージをリモートで一括管理することができます。
オンプレミス型
コンテンツの管理や配信をローカルのサーバーや制御装置で行います。
独自のネット環境やデータ保護要件に対応できるため、企業が自社のイントラネットやセキュリティポリシーに基づいて広告を実施する場合に適しています。
インタラクティブ型
タッチスクリーンやジェスチャー認識、センサー技術を組み込むことで、視聴者がコンテンツと相互に対話できるタイプです。情報検索、案内、製品デモ、メニュー注文、アンケート回答など多彩な応用方法があります。
消費者の関心を引き、より個別化された情報を提供することで、エンゲージメントやユーザー体験の改善とマーケティング効果の向上を後押しできます。商業施設や展示会、博物館などで広く活用されています。
デジタルサイネージを導入するコスト
デジタルサイネージを導入するには、どのくらいのコストが必要かも気になるところ。以下が主な費用です。
デジタルサイネージの初期費用(イニシャルコスト)
初期費用(イニシャルコスト)は、導入規模や機能、設置場所により異なります。一般的にはディスプレイやハード/ソフトウェア、インストールや配線、コンテンツ作成、ライセンス取得、ネットワーク接続やインフラストラクチャ、サポート・保守契約にかかる費用が含まれます。
最小システムでは12万円程度~。場合により300万円以上になり、規模と機能が高いほど費用もかさみます。初期費用の見積もり時には、目的と予算に合わせた検討が重要です。
デジタルサイネージの運用費用(ランニングコスト)
運用費用(ランニングコスト)は、運用や維持に必要な経費です。主に電力、コンテンツ更新、ネットワーク接続、メンテナンス・修理、サポート契約にかかる費用がこれに相当します。
デジタルサイネージの規模とコンテンツの更新頻度により異なりますが、月額数万円ほどが相場です。効率的な運用のためには、適切なメンテナンスの予定組みとコンテンツ管理手順の確立が肝心です。運用費用を適切に見積もり、予算に合わせて計画を立てましょう。
デジタルサイネージの具体的な活用方法
デジタルサイネージで成果を上げるためには、どのような活用の仕方があるでしょうか。具体的な活用方法を見ていきましょう。
店舗内へデジタルディスプレイを設置
デジタルサイネージを「インストア広告」として店舗内に設置する活用方法は、非常に高い効果を期待できます。すでに興味を持って入店してくれている状態のため、最後の一手として顧客の購買アクションを促すことができるからです。
コンビニなどでは、レジ上にサイネージを設置している光景がよく見られます。消費者の購買意欲を刺激する、インストア広告の効果的な活用例と言えるでしょう。
屋外広告としてデジタルサイネージを採用
大通りや駅などには大きなサイズの屋外広告を設置できるため、一度に多くの人目を引くことができて効果的です。さらにデジタルサイネージは普通の看板と違い、1つの枠で多くの情報を発信できます。
デジタルサイネージは視認性が高いのも特徴です。暗くて視界が悪い夜間でも見やすく、時間帯に関わらず効果を期待できるでしょう。
イベントや展示会でのデジタルパネルの活用
デジタルサイネージは広告や情報発信だけではなく、空間演出のツールとして活用することもできます。
例えば、イベントや展示会などでコンセプトに合わせた映像を流すことで、場の雰囲気を演出し利用者に楽しんでもらえるでしょう。また、幻想的な雰囲気を演出し感動してもらうため、複数のパネルを組み合わせたプロジェクションマッピングなどの活用例もあります。
クリエイティヴの発信ツールとして利用者に楽しんでもらうことはもちろん、注目を集めることで集客につなげることもできるでしょう。
デジタルサイネージを使用したメニュー表
デジタルサイネージは集客だけではなく、客単価アップに活用することもできます。
ファーストフード店やショッピングセンターにあるフードコート店舗などでは、カウンターとは別にレジ上にメニューを表示したサイネージを設置しています。レジ待ちのお客様の購買意欲を掻き立てることで「もう一品」の訴求ができ、客単価アップにつなげられます。
病院・役所の案内板をデジタルサイネージに
多くの病院や役所などでは、待合室にデジタルサイネージが設置されています。
ニュースや天気予報といった情報コンテンツを表示することで、待っている間の来訪者のストレスを軽減してくれます。呼び出しの効率化のため、番号表示機としている使用事例も増えてきています。
また、来訪者に向けたものだけでなく、施設内での情報伝達ツールとして活用している事例も多くあります。
訪日客(インバウンド)向けにデジタルパネルで多言語表示
日本を訪れる外国人観光客に向けたインバウンドマーケティングにも、デジタルサイネージを活用できます。
アナログ式の案内掲示ではスペースが限られますが、サイネージを利用すれば多言語対応が可能になり重宝されるでしょう。多くの外国人にとって店舗利用のハードルが低くなれば、購買意欲も促進されます。
駅や空港、高速道路のサービスエリアなど、特に観光客が多い場所では積極的に活用されています。
デジタルサイネージの効果的なコンテンツ戦略
デジタルサイネージはただ導入するだけではなく、魅力的なコンテンツ作りが必要です。効果を上げるためのコンテンツ戦略を見ていきましょう。
引き立つデザインとビジュアル表現
デジタルサイネージで効果を上げるためには、利用者へメッセージが伝わるコンテンツを作ることが重要です。設置する場所によって引き立つデザインは変わってくるため、それを考慮したビジュアル表現が必要になってくるでしょう。
ビジュアル要素は重要ですが、クリエイティブにこだわり過ぎると伝わりにくいものになってしまいます。コンテンツの長さは1つにつき10秒〜15秒が一般的です。見た人が思わず立ち止まって見てしまうような、インパクトあるデザインが求められます。
ターゲットオーディエンスに合わせたメッセージの設計
通常の広告と同様に、デジタルサイネージもターゲットとなるオーディエンスに合わせたメッセージを設計しコンテンツを作ることが必要です。映像や音声だけではなく、通行人の目を引くキャッチコピーを組み込むのも効果的でしょう。
利用者に合わせてサイネージの表示内容を変えるコンテンツ作りなどは代表的な事例です。
例えば、年齢や性別を自動で識別し、商品をすすめてくれる自動販売機などが日本でも登場しています。
ダイナミックな動画やアニメーションの活用
デジタルサイネージは一般的にDOOH(Digital out of home)とも言われますが、表示するコンテンツをリアルタイムで切り替えるダイナミックDOOHという手法も効果的です。
海外の航空会社が手掛けたディスプレイ広告では、映像が実際の航空機に合わせて動くというものでダイナミックDOOHのユニークな活用事例です。
アニメーションを活用するのも効果的です。ストーリー形式にしたり、吹き出しを入れた会話形式の動画にしたりすることで、足を止めて見てくれる確率が高まります。
インタラクティブ要素の導入
デジタルサイネージは一方向的な発信だけではなく、利用者が操作できるタッチパネルやモーションセンサーなどを備えた「インタラクティブ(双方向)サイネージ」としての活用も増えてきています。
最も代表的なものはタッチパネル機能を備えたものでしょう。ホテルなどの観光施設の案内掲示や、自動販売機などで広く活用されています。
ユニークな事例としてはスマートフォンやSNSと連携したもの。大手飲料メーカーのサイネージ広告では、画面に表示された内容をSNSに投稿することで直接参加できるキャンペーンを行い話題を集めました。
その他にも、人の動きを感知して表示する内容が切り替わるAR機能を備えたものや、音声認識・顔認証機能を備えたものがあります。
デジタルサイネージに表示させるコンテンツの制作
さらに、デジタルサイネージに表示させるコンテンツの作成方法として以下の2つをご紹介します。
PowerPointで制作する
PowerPointはコンテンツ制作にも便利なツールで、スライドやアニメーションを簡単に作成・設定できます。プレゼンモードで確認・修正し、動画または画像形式でエクスポートして完成です。
使いやすく多機能で、初心者も上級者もニーズに合わせて幅広く利用できます。ただし、再生環境に基づいて解像度やフォーマットを適切に合わせることが重要です。
オリジナル動画作成サービスを利用する
コンテンツ作成は、動画作成サービスに依頼することもできます。「IMAGE FREAK MOVIE」というサービスなら、ポスター・チラシ・パンフレット・ホームページなどのデザイン済み静止画データから、質の高いオリジナル動画を作成してくれます。
既存の静止画データを活用するため、お手頃価格でオーダー可能なのが何より魅力。ヒアリングやコンテ作成の準備工程も不要で、簡単に発注でき、最短3営業日で初稿が納品される迅速さも好評です。さらに校正は2回まで無料。必要に応じてディレクターが対応してくれるので安心して利用できます。
デジタルサイネージの運用と効果測定
デジタルサイネージは導入してすぐに効果が現れるとは限りません。効果測定を行ない、長期的な視点で運用していくことが必要です。
コンテンツの定期的な更新と改善
デジタルサイネージの最大のメリットは、状況に応じてフレキシブルに情報を差し替えられる点です。また紙媒体と比較して、コンテンツ更新にかかるコストを大幅に抑えられます。このメリットを最大限に活かし、定期な更新と改善を繰り返していくことが成果を上げるための正攻法だと言えます。
利用者を飽きさせないよう、新商品をリリースするタイミングや、季節の節目、イベント時期などに合わせて小まめな更新を行いましょう。
デジタルサイネージの効果測定と分析方法
デジタルサイネージの中には、IPカメラやWebカメラの顔認証システムで、視聴数や視聴時間などを記録し効果測定できるものものあります。
利用者のニーズをつかむコンテンツ作りには、効果測定と分析が重要です。主に、年齢・性別、視聴数・視聴時間、通行人数・滞在人数を調査、分析すると良いでしょう。
紙媒体とは異なり、広告として運用しながら同時にデータ収集・蓄積ができるのもデジタルサイネージの大きな強みといえるでしょう。
ユーザーの反応とフィードバックの活用
デジタルサイネージは見てもらうだけでなく、見た人がどのようにアクションを起こしたかを分析することも必要です。
通常の広告でも、商品やサービスについて問い合わせてもらったら、実際に購入・利用してもらうことが目的のはずです。 視聴者のアクションを知る例としては、サイネージ広告のQRコード経由でメルマガなどにどれだけ登録があったか、商品・サービスへの問い合わせがどれだけあったかなどがあります。
ユーザーの反応とフィードバックもうまく活用していきましょう。
まとめ
デジタルサイネージは、非常に費用対効果の高いメディア手法だと言えます。使用用途や運用方法を理解し、効果的に活用してみてください。