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「パーパスとは」をわかりやすく解説!マーケティングにおける重要性【ビジョン・ミッションとの違い、メリット・効果、設定する手法、用語解説など】

「パーパスとは」をわかりやすく解説!マーケティングにおける重要性【ビジョン・ミッションとの違い、メリット・効果、設定する手法、用語解説など】

近年、ビジネスシーンでは「パーパス」という言葉をよく耳にするようになりました。

パーパスは、企業の社会的な存在価値や意義を意味します。SDGsに対する社会的な関心の高まりとともに、世界的にパーパス経営への注目が集まっています。欧州では古くから根付いていた考え方ですが、日本ではまだあまり馴染みがなく、基本的な意味や必要とされる理由が把握できていない方もいるでしょう。

今回の記事では、マーケティングにおけるパーパスの重要性や、ビジョン・ミッションとの違い、パーパスを設定することで期待できる効果について解説します。

パーパスとは?定義や意味をわかりやすく解説!

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パーパス(Purpose)は、目的・意図という意味の英単語です。ビジネスシーンでは、企業の社会的な存在価値や存在意義という意味で使われています。

パーパスを設定することで「自社が何のために存在するのか」「事業を通してどのような社会貢献ができるのか」を明確にし、社内外に自社の存在意義を示すことができます。

注目されるきっかけとなったのは、2015年の国連サミットでSDGsが採択されたことです。これにより、個人だけでなく企業も環境、貧困、経済、教育、働き方などについて社会貢献を前提とした事業活動を積極的に取り入れていくことが必要となり、日本国内でもパーパス経営が注目されるようになりました。

マーケティングにおけるパーパスの重要性

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これまでのマーケティングは、競合する商品の中で機能・品質・ブランド力等で差別化を図り、企業の利益を上げることを目的としていました。

しかし、多数の類似商品が提供されることで他社との差別化が困難となり価格競争に陥りやすいため、企業の社会的な存在価値や存在意義、社会的責任に対する姿勢が注目され始めています。

また、消費者のSDGsへの関心も年々高まっており、より多くの共感を集めることへの重要性が増しています。共感する人が増えると、企業の認知度やイメージが向上し、自社の成長に繋がるのです。

これからのマーケティングでは、よりパーパスの設定や社会課題に取り組む姿勢が重要となるでしょう。

はっきり知りたい!パーパスと「ビジョン」「ミッション」の違い

パーパスと似た意味の言葉に「ビジョン」や「ミッション」があります。

定義が曖昧なためわかりにくいのですが、明確なパーパスを設定するためにはそれぞれの意味や違いについて理解することが大切です。

「ビジョン」とは?

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ビジョン(Vision)は、将来像・展望という意味の英単語です。

ビジネスシーンでは、現実的な計画を根拠とし、自社が将来的にどのような成長を遂げるのかという、目指すべき理想の未来像を示す言葉として使われています。

「ミッション」とは?

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ミッション(Mission)は、使命・役割という意味の英単語です。

ビジネスシーンでは、企業の社会に対して果たすべき使命や役割、どのように貢献するのかという意味で使われ、企業として進むべき方向性を示すものです。

「パーパス」「ビジョン」「ミッション」の違いをわかりやすく解説

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ビジネスシーンで使用されるパーパス、ビジョン、ミッションは明確な定義が定まっていないため、混同されやすくわかりにくいと感じる方もいるでしょう。

パーパス、ビジョン、ミッションは「Why」「What」「When」で捉えると概念が整理され、わかりやすくなります。

パーパスはWhy(なぜ)、ビジョンはWhen(いつ)、ミッションはWhat(何)です。

パーパスは、企業の最上位の概念で「何のために存在するのか」というゴールとして位置づけられます。パーパスに「たどり着くために必要なこと」がミッションで、「企業として何をするのか」です。何をするのかが決まると、そこからパーパスに到達するために、ビジョン「いつまでに目指すのか」という具体的な目標が決まります。

パーパスから派生した言葉とその意味

パーパスから派生した言葉に、パーパス経営・パーパスブランデイング・パーパスステイメント・パーパスドリブン等があります。

それぞれの言葉の意味について解説します。

パーパス経営

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企業が掲げたパーパスの実現に向けて事業を運営し、さまざまな社会問題を解決しながら、利益の確保に繋げていく、というのが「パーパス経営」です。

パーパス経営を行うことで、経営陣と従業員が同じ志を持つため、意思決定のスピードが早まり、従業員の仕事に対する意欲や情熱、誇りを持つことに繋がります。

また、企業の社会的な存在価値や意義が明確になるため、消費者やステークスホルダーに受け入れられやすくなり、永続的な発展にも繋がります。

パーパスブランディング

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パーパスブランディングとは、企業が掲げたパーパスが消費者に認知され、共感を得ることにより、商品やサービスの信頼や価値の向上、他社との差別化を目指すものです。

これまでのブランディングが消費者にとっての価値を大切にするものであったのに対して、パーパスブランディングは消費者の共感に価値を見出しているところが、大きな違いでしょう。

パーパスステイトメント

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パーパスステイトメントとは、パーパス(企業の社会的な存在価値や意義)を、具体的な言葉でまとめた声明(=ステイトメント)のことです。

パーパスステイトメントを作ることで、企業がどのようなパーパスを持っているのかがわかりやすくなり、経営陣や従業員だけでなく、消費者やステークホルダーにも共有されやすくなります。

パーパスドリブン

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drivenはdriveの過去分詞で、「突き動かされた」「駆り立てられる」という意味の英単語です。ビジネスシーンでは、「〜を起点とした」「〜をもとにした」という意味で使用されます。

そのためパーパスドリブンは、企業の物事はすべてパーパスを起点としており、商品やサービスにはパーパスが反映されているという意味で使われます。

パーパスを設定することで得られるメリット・効果

パーパスは、企業の社会的な存在価値や意義を示すものです。世間の社会問題への関心が高まる中、企業がパーパスを明確化することで得られるメリットと効果について解説します。

【設定するメリット①】企業に対する信頼性・共感性が高まる

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SNSの普及により、近年の消費者の購買行動は、その商品に対して共感できるかどうかが決め手となります。

企業がパーパスを設定し、取り組む姿勢が見られると、信頼できる企業という印象を与え、消費者やステークスホルダーの共感性が高まります。

共感性が高まるとSNSで拡散されやすくなり、認知度の拡大、イメージの向上に繋がり、売上の増加にも効果が期待できるでしょう。

【設定するメリット②】従業員のロイヤリティ向上が期待できる

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パーパスを設定することで、従業員は自分の業務が社会貢献していることを実感しやすくなります。

働く意味や意義が見つかることで、仕事へのモチベーションの向上や、組織としての一体感が感じられるようになるため、従業員のロイヤリティの向上も見込めるでしょう。

従業員のロイヤリティの向上は、作業効率の向上や離職率の低下にも繋がるなど、多方面で良い影響が期待できます。

【設定するメリット③】社会貢献への取り組みが促進される

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社会貢献は、サステナブルな社会の実現に欠かせません。企業ができる社会貢献の取り組みには、資源の提供、従業員によるボランティア活動、ブランド力による信頼感の提供、寄付などさまざまなものがあります。

パーパスを設定することで、実現に向けて実行するべき課題が見えてくるため、社会貢献への取り組みが促進されます。それにより、さらに共感する人や支持者が増え、自社の成長の原動力に繋がるのです。

パーパスを明確に設定するの具体的な手法

パーパスを企業活動に活かしていくためには明確に設定することが大切です。設定したものの実現するための行動を起こさない場合や、利益が優先になってしまうと従業員や消費者、ステークホルダーの共感を得られないばかりか、不信感を持たれてしまう可能性もあります。

ここでは、パーパスを設定するときの具体的な手法について解説します。

1,社会問題を解決するものなのか

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従来の企業のマーケティングやブランディングは消費者や株主を対象としており、利益を追求するものでした。

パーパスは消費者や株主だけでなく、従業員やその家族、近隣住民、取引先など社内外に向けて発信するもので、社会問題の解決を前提としなくてはいけません

社会の一員として、社会問題の解決に向き合うことで、多くのステークホルダーから共感を得やすくなります。

2,自社の利益につながるものなのか

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企業である以上、利益を上げなくてはいけません。パーパスを設定し、社会問題の解決に向き合った結果、業績が落ちてしまうようであれば企業として存続できなくなります。

また、従業員のモチベーションが高まり、働きがいを感じられるものでなければパーパスを設定してもうまくいきません。

社会貢献を通して、最終的には自社の利益に繋がるパーパスを設定しましょう。

3,自社が行う合理性があるものなのか

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パーパスを設定するときには、自社が行う合理性があるかどうか見極めることが重要です。

重要な社会問題でも、自社の事業とまったく関係がない分野の問題についての解決は困難です。パーパスを掲げても、解決に向けた活動が見られなければ、共感性が得られません。

自社のノウハウや経験を活せて事業と結びつくようなパーパスを設定しましょう。

4,自社で実現可能なことなのか

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社会問題は、環境問題、食料問題、人権問題、労働問題など、さまざま。真剣に向き合おうとしても、資金力や労働力に見合う取り組みでなければ、具体的な行動に移せない可能性があります。

パーパスを掲げても、実行できなくては意味がありません。自社で実現可能な活動かどうか検討することが大切です。

5,従業員が自分ごととして捉えられるものなのか

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パーパスは、従業員が自分のこととして捉えられるものでなくてはいけません。業務内容がパーパスに繋がっていると実感できなければ共感できないため、仕事に対する満足度や充実感など、従業員のロイヤリティの向上は期待できないでしょう。

経営陣と従業員が共通した価値観であり社会問題の解決に向けて取り組めるパーパスを設定することが、大切です。

パーパスを掲げる企業の事例

パーパスを掲げる企業は年々増加しています。企業により内容は様々ですが、ここではパーパスを掲げる企業の事例を紹介します。

富士通

富士通は日本の総合エレクトロニクスメーカーです。

2020年に新たに定められたパーパスは「イノベーションによって社会に信頼をもたらし世界をより持続可能にしていくこと」

同社はパーパスの実現のためには、ヒューマンセントリック、コネクテッド、予測・予防の3つの要素が重要と考えています。パーパスを実現するためにパーパス・カーヴィンという取り組みを始めており、経営層だけでなく全世界の社員で、誰も取り残されない持続可能な社会に向けての取り組みを展開していくとしています。

ネスレ

ネスレは世界最大の食品飲料会社です。「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の世界の質を高めていきます」をパーパスとして掲げています。

同社は、温室効果ガス排出量実質ゼロ、森林破壊ゼロのサプライチェーン、再生農業の大規模な推進に積極的に関与しており、ウォーター・スチュワードシップの向上、サーキュラリティ(循環性)を向上させるより良いパッケージの開発、若年層の機会創出、多様性のあるインクルーシブなチームの構築にも取り組んでいます。パーパスに基づいた企業活動を展開しており、多くの共感と支持を獲得しています。

パタゴニア

パタゴニアは、米国発祥のアウトドアブランドです。「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」をパーパスとして掲げています。

パタゴニアは、環境に負荷が少ない素材を使用している他、毎年売上の1%を寄付しています。また、創業者のイヴォン・シュイナー氏は「地球が私たちの唯一の株主」というメッセージと共に、議決権付株式を新たに設立した会社に、無議決権株式を環境危機と闘い自然を守る非営利団体に譲渡しました。そして毎年、事業に再投資を行った後の剰余利益を配当金として分配し、パタゴニアから環境危機と闘うための資金を提供しています。

積極的な取り組みで、世界中の人々から支持を集めています。

ユニリーバ

ユニリーバは世界190か国以上で400を超えるブランドを展開する、世界最大級の消費財メーカーです。

パーパスは「サステナブルな生活を”あたりまえ”にする」で、2011年に発表されました。「地球の健康の改善」「人々の健康とウェルビーイングの向上」「より公平でインクルーシブな社会の実現」の3つの分野で、達成期限と数値目標を掲げており、気候変動、プラスチックごみ、不平等など人々が関心を寄せる環境問題や社会問題に取り組んでいます。

まとめ

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社会環境の変化により企業は利益を上げるだけでなく、社会的意義も重視されるようになりました。

会社としてのパーパスを策定し、従業員やステークホルダーに向けて発信することは、自社の成長にも繋がります。

自社のあり方を見つめ直し、ぜひ実現可能なパーパスを策定してみてください。

監修者

大島 克俊

ゲンダイエージェンシー株式会社 取締役最高営業責任者(CMO)

1978年生まれ。2002年、当社入社。2005年、上野営業所長を経て、2008年東日本営業部グループマネージャーに就任、2013年営業企画開発部長に就任(現任)。2013年、当社子会社株式会社ジールネット代表取締役に就任(現任)。2017年、執行役員に就任。2021年、当社取締役に就任。2023年、最高営業責任者(CMO)に就任。
ゲンダイエージェンシー株式会社の成長と発展に大いに貢献してきた経験を持ち、そのリーダーシップと広告に関する専門知識は、当社の事業に大きな影響を与えてきました。現在は当社のセールスとマーケティング全般のマネジメントを担当しており、IT/デジタル分野についての深い知識を持っています。また、彼の親しみやすい人柄と部下からの厚い信頼も彼のリーダーシップを支えています。

執筆者

AdSELL編集部

「広告主と媒体社をつなげるメディアポータルサイト~AdSELL」の企画段階から参画し、サービス立ち上げメンバーを中心に、コンテンツ担当セクションを組織しています。
私たちが目指すのは、日本全国のビジネスパーソンに役立つ、マーケティングのノウハウや情報、事例をわかりやすく紹介すること。具体的な事例を交えて情報を提供し、読者様がすぐに実践できるような生きた情報をお届けします。読者様の「とは?」「なぜ?」という疑問に対する答えを、タイムリーに発信することを心がけています。

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