5C分析は、デジタル化や変化が激しい市場環境に対応できる分析手法です。成功要因を正確につきとめるために、5つの要素について情報を集めて分析します。
収益アップや効果的なマーケティング戦術の打ち出しに欠かせない5C分析。なぜ重要なのか、やり方はどうしたらいいのかを分かりやすく解説します。
目次
5C分析とは?意味と特徴を解説
5C分析とは、5つの「C」の要素を分析するフレームワークです。多角的な視点から現状を把握し、マーケティング戦術の方向性を決めていきます。5つのCとは、一般的に以下の要素です。
- 自社(Company)
- 消費者(Consumer)
- 競合他社(Competitor)
- 中間顧客(Customer)
- 地域(Community)
インターネットを通じて多様なサービスを受けられる現代では、ビジネスの成功要因は複雑に組み合わされています。例えば人気ブランドの服を買うとき、直営店舗だけでなくフリマサイトで個人からも購入可能です。
5Cのひとつずつを丁寧に分析することで、視野が広がり成功要因が見つけやすくなります。自社の立ち位置や市場環境、トレンドを正確に見極めてマーケティング戦術を練るには、5C分析は必要不可欠でしょう。
カンパニー(Company)=自社
まずはCompany=自社の現状について分析しなければ、マーケティングの方向性が定まりません。市場における自社の特徴や立ち位置をしっかり把握しましょう。
具体的には、売り上げや設備など客観的な事実と、予算や人員といった社内リソースを分析します。自社の強みと弱みが理解できれば、実現可能な戦略作りに大きく役立ちます。
コンシューマー(Consumer)=消費者
自社の商品やサービスを実際に利用するConsumer=消費者がどのような人なのかを、2つの側面から分析します。
1つめは、自社商品を選んだ理由や深層心理を指す「質的理解」です。何を求めて選んだのか、どのような心理状態で選ぶに至ったのかを分析します。
2つめは、商品を購入した人の性別や年齢といった属性を指す「量的理解」。性別や年齢層など、統計をとって数値化できる情報のことです。
2つの分析から、高い精度でターゲット層を絞れて効率的なマーケティングができます。
コンペトター(competitor)=競合他社
競合他社とは、単に同じ地域に出店している同業者だけではありません。ドラッグストアなら、比較項目によっては近隣のスーパーやコンビニ、薬局なども対象となります。競合他社ひとつずつについて、様々な角度から分析が必要です。
- 市場シェア
- 売上高
- 企業の規模
- 商品の特徴や強み、弱み
競合相手と自社を比較することで、自社商品ならではの打ち出し方やアプローチ方法が見えてくるでしょう。
カスタマー(Customer)=中間顧客
Customer=中間顧客とは、商品が消費者に届くまでの間に入る販売代理店や小売店、流通業者などを指します。個人が物を売る場を提供するフリマアプリも中間顧客です。ビジネスパートナーである一方、限られた市場でシェアを奪い合うライバルの側面もあります。
中間顧客がどのような戦略でマーケティングを行っているのか、強みや弱みを分析しましょう。ひとつの業者だけでなく、業界全体の特徴も理解することが大事です。
コミュニティ(Community)=地域
Community=地域とは、ビジネスに影響を与えるが自社ではどうにもできない外部要因を指します。具体的には政治・経済・社会・技術の変化があげられ、具体例は以下となります。
政治:税率が上がる・法規制の対象となる
経済:金利が上がる・景気が上向き傾向になる
社会:流行・世論・少子高齢化
技術:新技術・IT化・インフラ
市場は上記の要因によりスピーディーに変化します。目まぐるしく変わる状況に応じて戦略を変えたり、不測の事態に対応するために外部要因の分析は重要です。
3C分析・4C分析との違い
5Cの他にも、3Cや4CといったCの数が少ない分析手法も存在します。必ずしも5つの要素について分析が必要なのか、3C分析と4C分析の特徴について解説します。
【3C分析】3つのCの意味
3C分析のCはCustomer、Competitor、Companyの3つ。それぞれの具体的な内容や具体例は以下の通りです。
Customer:顧客のニーズや消費傾向、購買行動・市場の変化
Competitor:競合他社の売上高、市場シェア、販売・営業体制
Company:自社の強みや弱み、社内リソース
5Cとの違いは、Consumerで顧客や市場ニーズの分析を行う点です。3C分析では中間顧客の概念がなく、Communityに準ずる外部要因についても深く考慮しません。
3C分析でわかること
3C分析を行う一番の目的は、市場環境を正確に理解して成功のために必要な要因を見つけることです。最初に市場全体の動向を分析した上で、顧客の購買傾向を見極めていきます。
市場の中で、競合他社の成功要因はどこにあるのか、自社商品の立ち位置や弱み・強みを明らかにしていくのが3C分析の特徴です。自社ならどんな施策を打ち出せば成功するのか、定期的に新しい情報に更新して分析を重ねます。
【4C分析】4つのCの意味
4C分析は、3Cや5Cと異なり顧客視点に特化して分析を行います。4つのCの意味は以下の通り。
Customer Value:顧客が自社商品に対してどれほどの価値を感じているのか
Cost:顧客が自社商品を購入するために支払う費用
Convenience:支払方法や購入できる場所など、購入するまでの利便性
Communication:イベントの開催、SNSでの発信、相談窓口などでの顧客とのコミュニケーション
顧客視点のため、5Cや3CとはCの持つ意味や種類が大きく異なります。
4C分析でわかること
4C分析では、顧客側の立場にたってどのような商品ならニーズがあるのか、どこで競合他社と差別化できるのかを分析できます。ターゲットとする顧客の購買につなげるには、ただ売れ筋と同じような物を量で勝負するのではなく、刺さる要素や特別感が必要です。
顧客目線で分析を進めれば、顧客が求めるものに近い商品を提供できます。企業目線で行う3C・5C分析に4C分析を組み合わせて、顧客を十分に理解して顧客満足度のアップを目指しましょう。
5C分析のメリット
5C分析では様々な視点から商品を分析するため、マイナス要素を取り除きやすく市場の変化にも対応しやすいです。5C分析ならではの3つのメリットについて詳しく解説します。
【メリット①】リスクを軽減できる
5C分析を行うと、市場の状況から自社の能力まで、内部・外部を問わず幅広い環境の事実を把握可能です。事実に基づいた正確な分析を行うことで、2つのリスクを軽減できます。
- 今後起きる変化を予測し、事前に適切な準備をしてリスクを回避できる
- 現状で最も効果的な施策の打ち出しに集中でき、無駄にコストがかかるリスクを減らせる
5C分析では市場環境だけでなく社会情勢も考慮しているため、不可抗力による変化に対するリスクにも対応します。
【メリット②】流動的な市場でも柔軟に対応できる
現在の市場は、ネットの普及や販路の増加により流動性が増しています。流動的な市場でも柔軟に対応するには、3Cや4C分析だけでは情報量が変化に対する対応スピードが足りません。
市場のトレンドをいち早く取り入れる5C分析なら、より消費者に近い中間顧客への分析が必要不可欠です。市場に大きな影響を与える社会情勢も、常に新しい情報を取り入れると変化に対応しやすくなります。
定期的に5C分析を行い、市場の微妙な変化を早期に発見して柔軟にマーケティング戦術の見直しを行いましょう。
【メリット③】収益に繋がる可能性がより高くなる
5C分析では、市場や消費者のニーズだけでなく、競合他社・自社・中間顧客それぞれの売り上げや成功事例も調査の対象です。多角的な視点で情報を把握することで、成功要因を正確につきとめて自社のマーケティングに取り込めます。
成功要因が把握できれば、収益アップにつながりやすい戦術の打ち出しが可能に。繰り返し新しい情報を取り入れて分析を行うことで、精度の高い成功するマーケティングを実施できます。
まとめ
5C分析は、多角的に情報を集めて分析することで成功要因を見つけてマーケティングに活かす方法です。デジタル化や社会情勢の変化にも強い分析手法で、効率よく成功を狙えるマーケティングを行いましょう。