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マーケティングの「PSM分析とは」をわかりやすく解説!【価格感度分析、意味、特徴、手順・やり方、メリット、デメリット、用語解説など】

マーケティングの「PSM分析とは」をわかりやすく解説!【価格感度分析、意味、特徴、手順・やり方、メリット、デメリット、用語解説など】

PSM分析とは、自社の製品やサービスの適正価格を調査するときに欠かせないマーケティング手法のことです。価格設定が高いと消費者が敬遠する可能性がある一方で、安すぎると信頼を失いかねません。

この記事ではPSM分析がどのような手法であるのか、調査のやり方や注意点も交えつつわかりやすく説明します。

PSM分析とは?意味と特徴をわかりやすく解説!

https://www.pexels.com/ja-jp/

PSM分析(価格感度分析)とは、自社の製品やサービスの市場における適正価格を把握するためのマーケティング手法です。「Price Sensitivity Measurement(価格感度測定)」の略語で、価格に関する市場調査のデータをもとに分析を行い、市場で消費者に受け入れられる価格帯(許容可能価格帯)を導き出します。

PSM分析で算出できるのは「上限価格」「妥協価格」「理想価格」「下限価格」の4点です。希望価格を直接的に尋ねる従来の手法と異なり、許容価格の幅を考慮した問いが設けられているため、高精度の結果を得やすいのが特徴です。

PSM分析の重要性

https://pixabay.com/ja/

安易な価格設定を行うと、ヒットするはずの商品の売上が芳しくなかったり、販売数と利益が反比例する可能性があります。企業と消費者双方が納得する価格設定を行うためには、PSM分析による消費者のイメージ調査が必要不可欠です。

PSM分析は、消費者とコミュニケーションを図りながら商品の適正価格を把握できます。最適な価格で製品やサービスを打ち出せるため、消費者に値ごろ感を与えつつ安心して購入してもらえることにつながるでしょう。

PSM分析の活用事例

PSM分析の活用事例は以下の通りです。

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割引キャンペーン

商品の過度な割引は、消費者に不信感を与えかねません。PSM分析で算出した下限価格や理想価格を意識することで、適度にお得感のある価格設定ができます。

ブランディング戦略

類似した製品やサービスが多く流通する市場では、ブランド独自の強みを打ち出すことによって平均より高価格帯での販売が可能になります。PSM分析による妥協価格や最高価格を目安にした価格設定は、消費者に特別感を与えられるでしょう。

スキミングプライス戦略

早期に高い収益を得る目的で製品やサービスの導入期に高めの価格設定を行い、市場への浸透具合を見ながら徐々に価格を下げるという戦略です。PSM分析を用いることで、最高価格や理想価格を目安にした適切な価格設定が可能です。

PSM分析のメリット

PSM分析のメリットをいくつかご紹介します。

【メリット①】根拠のある価格設定ができる

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社員の経験や勘のみに頼った価格設定を行うと、消費者の感覚とかけ離れた価格になり、売り上げが低迷する可能性があります。

PSM分析は消費者から得たデータをもとに定量的な分析ができるため、客観的かつ根拠のある価格設定が可能です。社内で価格について提案する際も、消費者の視点に基づいたデータがあることによって合意を得やすくなるでしょう。

【メリット②】消費者目線の適正価格が把握できる

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PSM分析を用いることにより、消費者目線の適正価格を把握できます。販売にたどり着くまでの苦労や願望など、企業側の先入観を取り除いた価格設定は売り上げを左右するポイントです。

社員だけでは実現しにくい、フラットな視点で価格設定ができるのはPSM分析の大きなメリットです。

PSM分析のデメリット・問題点

PSM分析には複数のメリットがある一方で、デメリットもいくつか存在します。効果的なPSM分析ができるよう、事前に理解しておきましょう。

【デメリット①】現実的ではない価格が算出されることがある

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PSM分析で算出された価格は、あくまで調査対象者のイメージに基づく仮説に過ぎません。金銭事情や購買意欲など、調査対象者の主観が影響を与えて非現実的な価格が算出される場合もあります。また販売者の視点は考慮されないため、場合によっては原価割れとなる価格が算出されることもあるでしょう。

PSM分析の結果は真摯に受け止めつつも、鵜呑みにしないことが重要です。

【デメリット②】実際の購入率まで予測できない

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PSM分析を用いることで高精度の価格設定ができますが、販売開始後の売れ行きまでは予測できません。PSM分析の結果を検証するためにはCVM分析を組み合わせて、算出された価格帯別の購入率から予測する必要があるでしょう。

テスト販売で市場の反応をうかがいつつ、実数を測定するのも一案です。

PSM分析の実践方法・やり方

PSM分析の具体的なやり方をご紹介しますので、ぜひ実践してみてください。

Step1:消費者へ4つの質問を用意する

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まずは調査したい製品やサービスを指定したうえで、消費者に4つの質問を用意しましょう。PSM分析の基礎となる質問であり、消費者が潜在的に意識する「許容可能価格帯」を調査するために欠かせないプロセスです。

質問用紙もしくはネット上に質問ページを用意しましょう。

PSM分析に必要な4つの質問

PSM分析に必要な質問は、次の4点です。同様のニュアンスであれば、言い回しを若干変更しても構いません。より信頼性の高いデータを得るためには、選択式ではなく自由記述式の回答を求めるのが望ましいです。

  • 【問1】この製品はいくらくらいから「高い」と感じますか?
  • 【問2】この製品はいくらくらいから「安い」と感じますか?
  • 【問3】この製品はいくらくらいから「高すぎて買えない」と感じますか?
  • 【問4】この製品はいくらくらいから「安すぎて不安」と感じますか?

Step2:アンケート結果をエクセルでまとめる

エクセルで累積度数分布表を作成し、質問者から得たアンケートの結果をまとめましょう。

Step3:グラフの交点の価格を確認する

完成した累積度数分布表をグラフ化し、折れ線グラフを作成してください。消費者の割合を縦軸、価格を横軸に指定しましょう。

https://pixabay.com/ja/ ※画像はイメージです。

上限価格(最高価格)

「高すぎて買えない」と「安い」の交点で「これ以上高いと購入しない」と消費者が捉える価格です。上限価格に設定すると高い利益率が見込める半面、消費者が敬遠するリスクを秘めています。

ただし、自社ならではの付加価値がある場合や競合他社がいない場合や、高級路線のブランドとして売り出したい場合はあえて上限価格にするのもひとつの選択肢です。

妥協価格

「高い」と「安い」の交点で、消費者から「この価格なら購入できる」と思われる限界の価格です。妥協価格は消費者が日頃から意識している価格基準に近い値でもあり、トップシェアを誇る製品の価格は限りなく妥協価格に近い傾向があります。

例えば1本200円の牛乳は大半の消費者が妥当な価格設定だと考えるのに対し、1本600円の牛乳は高いと感じる人が多いはずです。妥協価格から外れた商品は、消費者から受け入れられにくくなるでしょう。

理想価格(最適価格)

「高すぎて買えない」と「安すぎて不安」の交点で、消費者が最もストレスを感じないであろう理想の価格です。理想価格は妥協価格より若干安い位置づけになるケースが多く、消費者に受け入れられやすい最適価格です。

消費者からの価格に対する不満が生じにくく、早期に市場へ浸透しやすい一方で、製造コストの問題などにより企業が利益を得にくくなる可能性があります。

下限価格(最低品質保証価格)

「高い」と「安すぎて不安」の交点で、消費者から品質を疑われる可能性がある価格です。特売セールやディスカウントストアの取り扱い商品には有効な価格設定ですが、場合によっては不良品や偽物だと疑われる可能性があります。

大きな利益を得にくいという難点も抱えているため、下限価格を設定する製品やサービスは慎重に選ぶことがポイントです。

Step4:価格の決定

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分析結果をもとに、製品やサービスの価格を決定しましょう。価格は、上限価格と下限価格の間である「許容可能価格帯」の範囲内で設定するのが理想です。妥協価格や理想価格にも着目しつつ、製造や販売にかかるコストと相談しながら最適な価格設定を行ってください。

PSM分析を行う際の注意点

PSM分析における注意点を理解し、自社製品の価格設定に最大限活かしましょう。

隔たりがでないように属性別に調査を行う

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製品やサービスに対するイメージは、消費者の属性によって大きく異なります。分析結果に隔たりが生じないよう、年齢や性別、地域などを分けて調査を行ってください。

あわせて、調査対象者が製品の相場を理解しているかどうかも確認することがポイントです。製品にまったく興味のない人や、同じカテゴリーの製品を一度も購入した経験がない人は調査対象から外した方が精度の高い結果を得られます。

対象商品のスペックや詳細は事前に伝える

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対象となる商品の特徴や詳細を、あらかじめ伝えることも大切なポイントです。資料にまとめたり実物を用意したりして、調査対象者がイメージしやすい状態で調査協力を仰ぎましょう。

他社製品と比較しやすくなるというメリットもあり、より精度の高い結果を得られます。

まとめ

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今回の記事では、PSM分析の特徴ややり方をわかりやすくまとめました。ポイントを押さえれば簡単にできるので、ぜひ実践してみてください。

監修者

大島 克俊

ゲンダイエージェンシー株式会社 取締役最高営業責任者(CMO)

1978年生まれ。2002年、当社入社。2005年、上野営業所長を経て、2008年東日本営業部グループマネージャーに就任、2013年営業企画開発部長に就任(現任)。2013年、当社子会社株式会社ジールネット代表取締役に就任(現任)。2017年、執行役員に就任。2021年、当社取締役に就任。2023年、最高営業責任者(CMO)に就任。
ゲンダイエージェンシー株式会社の成長と発展に大いに貢献してきた経験を持ち、そのリーダーシップと広告に関する専門知識は、当社の事業に大きな影響を与えてきました。現在は当社のセールスとマーケティング全般のマネジメントを担当しており、IT/デジタル分野についての深い知識を持っています。また、彼の親しみやすい人柄と部下からの厚い信頼も彼のリーダーシップを支えています。

執筆者

AdSELL編集部

「広告主と媒体社をつなげるメディアポータルサイト~AdSELL」の企画段階から参画し、サービス立ち上げメンバーを中心に、コンテンツ担当セクションを組織しています。
私たちが目指すのは、日本全国のビジネスパーソンに役立つ、マーケティングのノウハウや情報、事例をわかりやすく紹介すること。具体的な事例を交えて情報を提供し、読者様がすぐに実践できるような生きた情報をお届けします。読者様の「とは?」「なぜ?」という疑問に対する答えを、タイムリーに発信することを心がけています。

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