近年、企業は提供する商品・サービスだけでなく、企業そのものに対するイメージも重要視されるようになりました。そんな中で、企業のイメージを作っていく手法のひとつ「企業ブランディング」が注目されています。では、企業ブランディングとはどのような手法であり、具体的にどう進めていけばよいのでしょうか。
この記事では、企業ブランディングの概要から具体的な進め方についてわかりやすく解説します。
目次
企業ブランディングとは?意味と特徴をわかりやすく解説!
企業ブランディングとは、顧客、取引先、株主、地域など関わるすべての方に対して企業のイメージを戦略的に伝えていくことを指します。一方で、商品やサービスに対するイメージは「ブランド」と呼ばれていますが、企業ブランディングでは企業自体のイメージについて考えていくのです。
また「戦略的」というように企業ブランディングは明確な方向性を定め、それに沿って進むようひとつずつ施策を実行していきます。
「商品ブランディング」との違いは?
企業ブランディングは会社全体が対象ですが、商品ブランディングは企業が提供する商品・サービスが対象になるという明確な違いがあります。
商品ブランディングの最終的な目的は、商品・サービス自体の売上増加にあります。それに対し、企業ブランディングは社会全体に情報を発信し、企業に対してのファンを増やすことを目的としています。
このように企業ブランディングと商品ブランディングは目を向ける対象だけでなく、目的も異なる点に注意しておきましょう。
企業ブランディング 4つの基本要素
企業ブランディングでは「ビジョンとミッション」、「価値観と文化」、「同業他社との差別化」、「ターゲットオーディエンスへの理解」の4つが基本要素とされています。
なぜ企業ブランディングに重要な要素とされているのか、それぞれの概要と意味を確認していきましょう。
「ビジョン」と「ミッション」
それぞれに企業には「ビジョン」と「ミッション」があります。企業内の従業員だけではなく、取引先や顧客など周囲も巻き込まないと実現できない事柄が多数を占めます。そのため、ビジョンとミッションを実現するためには、まず周囲へ伝わらなければなりません。
企業ブランディングは会社概要だけでなく、ビジョンやミッションと「想い」も伝えることが可能です。このような観点でビジョンとミッションは企業ブランディングの基本要素のひとつとして扱われています。
価値観と文化
ビジョンやミッションには共感ができたとしても、会社内の価値観や文化が合わなければ意味がありません。極端な例ですが、目的とするビジョンを達成するときに関係者以外は不幸になっても良い考えと、すべての人が幸せになるように進めるのでは目的が一緒でも過程が異なります。
このようにビジョンやミッションを達成する過程でどのように進めていくのか、その進め方は共感・応援できるものであるのかを図るために価値観と文化も重要な事項なのです。
同業他社との差別化
同業他社から同じような商品・サービスが提供されていることも少なくはないでしょう。特徴が似ている商品が他社で販売されると、差別化が難しくなります。
例えば、知名度が低くなにもイメージがない企業の商品と、ある程度の知名度と良いイメージがある企業の商品の2つがあるとします。この場合、どちらの商品を選びますか?多くは後者を選ぶのではないでしょうか。
このように企業ブランディングでは、商品以外の観点から同業他社との差別化を図ることが可能です。
ターゲットオーディエンスへの理解
ターゲットオーディエンスとは、広告を届ける対象である消費者のことを指します。ターゲットオーディエンスを適切に設定すると、より具体的に商品・サービスの展開を考察することが可能です。
そのためにはまず市場調査を行い、顧客のニーズ、嗜好、行動などを特定し、ターゲットオーディエンスが企業に対してどのようなモノやコトを求めているのかを理解しましょう。
企業ブランディングを行う具体的な手法
企業ブランディングはどのように実行していけば良いのでしょうか。ここでは具体的な手法について紹介します。
現状の分析
最初に行うべきなのが、現状の分析です。現段階での企業ブランド力を分析することで最終的な目標までの差が分かり、実行していくべき事柄が見えてきます。
現状分析の方法としては、SWOT分析、PEST分析、3C分析などのフレームワークが用いられています。それぞれのフレームワークで分析できる内容が異なるため、適宜必要なフレームワークを選定して分析をしましょう。
ブランドの方向性を決定
現状の分析を行った後は、今後進むべき方向性を決定します。企業ブランドの方向性を決定する際には、自社の主力としている商品・サービスの雰囲気とマッチしているのかを重視しましょう。
例えば、身近な商品やサービスを提供しているのであれば親しみやすさやフレンドリーさを強調するブランド展開を。高級感を強調したいのであれば洗練されたデザインを検討しながらブランド展開をする、など商品・サービスをベースに検討してみましょう。
コンテンツマーケティングの充実
コンテンツマーケティングとは顧客に有益な情報を与え続け、関係を維持するマーケティング手法です。企業ブランディングにおいてのコンテンツマーケティングの充実には、顧客との関係を維持することにあります。売り込みを目的にしないよう、注意をしなければなりません。
たとえば「商品Aの使い方動画の配信」は、既存顧客へ有益な情報を発信しています。この取り組みの目的は、自社や商品に対して親近感や愛着が湧き、今後も関係性が続くよう働きかけることにあります。
既存客との関係性を維持していくようなコンテンツマーケティングを展開していきましょう。
カスタマーエクスペリエンスの向上
カスタマーエクスペリエンスとは「顧客視点での体験」を指します。顧客は常に合理的な判断で購入しているわけではなく、購入に至るまでのプロセスには少なからず感情が入っています。
カスタマーエクスペリエンスとは顧客の購入に至るまでの感情を重視したものであり、商品・サービスの訴求力と非常に深い関係があります。販売する側ではなく顧客側に立ち、どのような感情で商品・サービスを購入するのかを行動を予測しながら分析しましょう。
ブランドコミュニケーションの戦略
ブランドコミュニケーションとは、企業が顧客へブランドの価値を伝える活動全般を指します。
単に伝えるといっても、SNSを使用する、既存客向けの集客イベントを開催するなど、手法には様々。ここまでで考えてきた方向性に沿ったものでコミュニケーションを取っていきましょう。また、ブランドコミュニケーションもすぐに結果がでるものではないため、長期的な観点で繰り返していくことが必要です。
企業ブランディングの効果測定方法
企業ブランディングを行った後は、定期的に効果を測定するようにしましょう。では、どのように測定すれば良いのでしょうか。ここでは代表的な測定方法を3つほどご紹介します。
ブランド認知度の測定
自社の名称、商品・サービスの名称がどのぐらい知られているのかを調べる測定します。市場調査(WEB上のアンケートや街頭アンケートなど)によって、知っている人の割合を算出していきます。
ブランド認知度の測定には「純粋想起」と「助成想起」の2つがあります。純粋想起とは、企業や商品の名前、助成想起はパッケージやロゴなどのビジュアルです。この2つにおいて認知度アンケートを取り、企業ブランディングが進行する上で認知度が上がっているのかを確認していきましょう。
ブランドイメージの評価
ただ名称を知られているだけではなく、その名称に良いイメージも持ってもらわなければなりません。認知度を測定する際、どのようなイメージを持っているのかを同時に調査しておきましょう。
この際、競合他社との比較を可視化するギャップ分析をおこなうと、今後の方向性の指標にもつながり効果的です。
顧客ロイヤルティの分析
顧客ロイヤルティとは、顧客が商品・サービスに対して感じている信頼や愛着を指す言葉です。顧客ロイヤルティが高いほどリピート率が上がり、事業の安定性が高まります。
顧客ロイヤリティの測定項目としては、満足度、他社に進めたい気持ちの強さ、継続利用したい気持ちの強さなどが用いられます。既存客を中心にアンケートを実施して、定期的に測定を行いましょう。
まとめ
企業ブランディングにはさまざまなメリットがあります。今回ご紹介した手法や測定方法を把握し、適宜実行していきましょう。