タイアップは、企業や影響力のある個人に協力してもらい商品やサービスを宣伝する方法です。タイアップ先との相性がよければ、大きな話題性や波及効果が得られる可能性があります。
この記事ではタイアップの特徴や、似たシーンでよく使われるコラボレーションとの違いを解説。実際の例も交えながら説明するので、タイアップについて理解が深められるでしょう。
目次
1.ネイティブ広告の一種「タイアップ広告」
タイアップ広告とは、広告主がほかの企業や個人に広告費を支払い、宣伝に協力してもらう手法です。WebサイトやInstagramをはじめとするSNS、雑誌などさまざまなメディアがタイアップ先となります。
タイアップ広告の例
- 商品についての紹介記事を編集部に制作を依頼し、雑誌に掲載してもらう
- 商品に対するSNSの反応についてまとめサイトで記事化を依頼
- 有名人のInstagramやブログで商品を紹介してもらう
- 人気ユーチューバーに依頼し、チャンネル内で自社商品やサービスを紹介
タイアップ広告は、記事広告やエディトリアル広告とも呼ばれます。記事広告は、他の一般記事と同様の形式でPRする方法。エディトリアル広告は、商品やサービスの詳細をメディア側に提供し、記事を作成・掲載してもらう手法です。
補足)ネイティブ広告とは?
ネイティブ広告とは、媒体(Web、新聞、雑誌など)の中で他の記事に溶け込む形で宣伝する方法です。自然に読者の目にとまり、潜在ニーズにアプローチできます。
一般記事との見分け方は、PRマークや広告マークが入っているかどうかにあります。
「通常の記事」「純広告」と「タイアップ広告」の違い
Webメディアや雑誌などの媒体内には、「通常の記事」「タイアップ記事」「純広告」が混在しています。
通常の記事は、媒体主が独自に企画・制作したもので広告主は関わっていません。 タイアップ記事や純広告は、広告主が媒体側に広告費や出稿料を支払って掲載します。
通常の記事に溶け込んでいるか、広告として表示されているかが大きな違いです。
Webメディアでの例
- 通常の記事:Webメディアが作成した、広告主が関与しないオリジナル記事
- タイアップ記事:オリジナル記事と同じ形式で作成された広告
- 純広告:広告枠を買い取り、サイトトップなどに一定期間掲載が続く広告
タイアップ記事はステルスマーケティングに該当する?
ステルスマーケティングとは、広告だと気付かれないように商品やサービスをPRする手法です。
ステルスマーケティングに該当する例
- インスタグラマーに報酬を渡し、PRと表示せず個人の感想として「効果があるからおすすめ」と投稿するよう依頼する
- 報酬を渡し、Twitter(X)で消費者として商品を使っていると投稿するよう依頼する
タイアップ広告では「広告」「PR」と記載するのが一般的。読者が広告であると認識できれば、ステルスマーケティングには該当しません。
2.販促・宣伝活動としての「タイアップ企画・タイアップキャンペーン」
広告として宣伝するのではなく、企業や個人・コンテンツと提携して販促活動を行うのがタイアップ企画・タイアップキャンペーンです。近年は、話題のアニメとのタイアップ企画をよく見かけるようになりました。
タイアップ企画の例
- 商品のパッケージにアニメキャラが描かれる
- 商品のバーコードを集めて応募すると人気キャラクターグッズが当たる
- Twitter(X)でフォロー・リツイートするとタイアップ先企業の商品が当たる
新しい商品やサービスは、タイアップ先のブランド力を借りて認知度だけでなく信頼度が上げられます。タイアップ先のファン層に直接アプローチできるため、新しい客層の取り込みも可能。商品と相性のいいタイアップ先の選定が重要です。
主なタイアップキャンペーン・タイアップ企画の一例
具体的にどのような事例があるのか、今回はタイプの異なる3つのタイアップ企画を紹介します。
美容機器メーカーのヤーマン×ホテルイースト21東京
東京都江東区にあるラグジュアリーホテル「ホテルイースト21東京」のスイートルームなどに、ヤーマンの美容機器を設置するタイアップ企画です。対象の部屋に宿泊すると、ヤーマンの人気フォト美顔器など3種類を好きなだけ体験できます。(実施期間:2023年5月~)
企画詳細:
https://www.hotel-east21.co.jp/news/276
女性ファッション誌「sweet」×香水サブスク「カラリア」
sweetでカラリアのタイアップ記事を掲載、Twitter(X)のカラリアアカウントでのプレゼントキャンペーンを告知しました。企画内容は、キャンペーンツイートをリツイートすると、抽選で香水をプレゼントが当たるというもの。 オシャレ好きの女性に対し、人気モデルを起用して香水の魅力をアピールしました。カラリアの認知度をさらに上げ、興味を持ってもらうタイアップ企画です。(2022年10月実施)
くら寿司×ポケモン
くら寿司は、定期的に人気アニメやキャラクターとのタイアップ企画を開催。限定メニューや先着プレゼント、すし皿5枚で1回できる「びっくらポン」の景品がタイアップ企画商品となります。 2023年8月は「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」とタイアップ。ポケモンファンのファミリー層の来店促進を狙います。
企画詳細:
https://www.kurasushi.co.jp/author/004905.html
3.競合との差別化を図るための「タイアップ商品」
タイアップ商品とは、競合他社の類似商品とは別の付加価値を付けて差別化をはかった商品です。子ども向けアニメのイラストがパッケージに描かれているお菓子やパンは、タイアップ商品の代表的な存在。中身や値段は同程度でも、キャラクターが描かれているだけで選んでもらいやすいです。
タイアップ先にとっては、より幅広く周知され興味を持ってもらえるチャンス。パッケージそのものが広告となり、興味や関心を惹きます。
広告も兼ねるタイプのタイアップ商品は、注目の映画や人気アニメなど話題性のある作品との期間限定モノも多数。タイアップ先のファンの商品購入と広告宣伝の両方が叶い、双方にメリットが生まれます。
主なタイアップ商品の一例
ここでは、実際のタイアップ商品の実例を2つ紹介します。
丸大食品 カルパス×BT21
カルパスといえば、お酒のおつまみやおやつとして昔から定番の商品。やや渋いイメージのあるパッケージが、若年層に人気のBT21とのタイアップで可愛くポップな印象になりました。
商品詳細:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000054430.html
東洋水産 マルちゃん×広島東洋カープ
マルちゃんの「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」が中国地方で発売するのは、広島東洋カープタイアップパッケージ。おなじみのカープ坊やを大きく印刷し、地域のカープファンにアピールしています。
商品企画詳細:
https://www.maruchan.co.jp/news_topics/entry/2023/07/post_20210733.html
4.「タイアップ」と「コラボレーション」は何が違う?
タイアップと混同して使われがちなのが、コラボレーションです。厳密な分け方はないものの、相手先との関係性や目的が少々異なります。
タイアップは、メインの企業に対して他の企業が加わり連携することです。商品の中身は一緒だけど、パッケージだけタイアップ先のものに変えるのが代表例。商品自体の売上や知名度を上げるのが主な目的です。
コラボレーションは、参加企業が対等に連携して商品を作り上げること。コラボ先の作品にあわせて商品をイチから開発する、お互いの特徴を組み合わせた異業種コラボなどがあります。コラボレーションだからこそ実現する、他にはない価値と話題性を生み出します。
主なコラボレーションの一例
コラボ企画は数多くあり、ユーチューバーや有名アーティスト、人気アニメとコンビニ系商品とのコラボは特によく見かけます。今回は、異色のコラボ企画を4つ見てみましょう。
おっとっと×学研の図鑑LIVE
生き物の形を模したロングセラーお菓子「おっとっと」と学研の図鑑がコラボレーション。海と陸の最強生物の形をしたお菓子を楽しみながら、図鑑コラボならではの臨場感ある3DCGで遊べます。
コラボ企画詳細:
https://www.morinaga.co.jp/ototo/gakken/
ベビースター×わさビーフ
ともにロングセラーのスナック菓子である、おやつカンパニーのベビースターと山芳製菓のわさビーフの相互コラボレーション。わさビーフ味のベビースターラーメンと、ベビースター味のポテトチップスが楽しめます。
コラボ企画詳細:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000392.000021119.html
北斗の拳×北海道北斗市
言わずと知れた往年の人気マンガ「北斗の拳」と北海道北斗市が、”北斗”つながりで実現した異色のコラボレーション企画。市内の観光地や飲食店でコラボイベントが楽しめるほか、オリジナルグッズも発売してファンの誘客を計ります。
企画詳細:
https://www.city.hokuto.hokkaido.jp/docs/hokutonoken.html
映画「SPY×FAMILY」×「ミッション:インポッシブル」
2023年7月公開のトム・クルーズ主演のアクション映画「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」と、12月に公開予定の「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」がコラボレーション。ともに”スパイ”が題材の話題作品がコラボした、特別ビジュアルと特別映像が公開されました。
まとめ
タイアップは、単に売り上げや知名度アップさせるだけではありません。タイアップ先によっては、ブランド価値を高めるチャンスもあります。まずはタイアップの目的を明確にし、自社にぴったりの連携先を探しましょう。